法然上人形状絵図

ほうねんしょうにんぎょうじょうえず

「四十八巻伝」は、舜昌法印が後伏見院の命をうけて、徳治二(一三〇七)年から十余年をかけて制作したもので、知恩院本(国宝)および当麻寺奥院本(重要文化財)とがある。これら二種の伝本は、人物の向きや建物の模写においてその細部に異同が認められる。本学蔵本をこれらの伝本と比べてみると、詞書の字配りや図様(ただし、人物の相好などは細部を臨写、彩色を加えている)など、すべて当麻寺奥院本と一致するところから、奥院本に基づいた模写本と考えてよいであろう。

表紙には「佐野文庫」(朱の楕円形)の印が、本紙巻頭には「堀田文庫」(朱の重郭長方印・堀田正敦の蔵書印)、「裕斎」(朱の楕円形・裕斎は堀田正敦の息で、堀田正衡の号)の印が捺されている。この模写にあたっては、堀田正敦・正衡父子が関与していたものであろうか。堀田文庫蔵本は現在もなお堀田家に襲蔵されてはいるが、この「四十八巻伝」の僚巻は現存していない。奥院本を転写した伝本としては、現在、本学蔵のみである。

『佛教大学図書館蔵貴重書図録(1997年発行)』より