承久兵乱記

じょうきゅうへいらんき

承久3(1221)年に起こった承久の乱の顛末を記した軍記物語である。「承久記」ともいう。「承久記」は作者・成立年代とも未詳だが、慈光寺本が最も古態を残していると言われ、その後流布本が成立し、それを抄出したものが前田家本であると見られている。本資料はその前田家本の系統であり、元和年間(1615~1623)の書写であると考えられている。
本資料には「盛安」、「平杉原出雲守」、「野津基明庫本」の印がある。「盛安」と「平杉原出雲守」の印主は杉原盛安という人物で、公家の九条家の家司であった。杉原は本資料の他にも「源氏物語絵巻」の作成に関与していた他、「二十一代集」、「日本書紀目録」などの写本を所蔵していた蔵書家であることが近年の研究で明らかにされている。また、「野津基明庫本」の印主は彦根藩主で国学者であった野津基明(1803~1876)である。

参考文献 恋田知子「江戸初期における絵巻制作の一背景:中井正知・杉原盛安の文化活動」(『藝文研究』95、2008年)