十二月あそひ

じゅうにつきあそび

正月から極月(十二月)にいたるまで内裏、京の町々を中心に伝わる年中行事や遊びの数々、季節の自然などが月ごとに描かれ、その様子が絵と詞、交互に書き連ねられています。京都に住まうものにはなじみの深い地名や、「人の心を迷わし悩ます」という花の名所も多く登場します。いまに伝承される行事や風物もありますが、この絵巻が製作されたころ(江戸中期ごろか)と現在とでは違ったかたちで残っているものなども多く、比較しながら楽しむこともできます。

収録行事/風物:
【正月】
正月のしつらえ(門松、注連飾り、蓬莱山飾り)、年始挨拶、恵比寿舞、鳥追い(ささら)、恵比寿かき(弓)、年玉、扇売り、玉とばし、七草、どんど?、鏡開き
【二月】
梅の花、うば桜、八重紅梅、春霞、涅槃会、涅槃相
【三月】
春雨、青葉、花の名所(吉野、初瀬)、嵯峨野(大念仏、御身拭い)、高野大師の御影供、東寺、庭鳥合わせ
【四月】
卯の花、花橘、郭公(死出田長)、山吹、灌佛、若葉、藤の花(北の藤波、大谷、白藤、野田の藤棚)、酒宴
【五月】
端午の節句(あやめ葺き、幟、兜、茅巻)、賀茂競馬、深草神事、石打、印地
【六月】
蚊遣り火、夕顔、祇園祭、四条の町、神の御輿、犬神人
【七月】
乞巧奠(天の川、牽牛織女、鵲の紅葉の橋、五色の糸)、六道詣り、精霊迎え、百味の供物、施餓鬼供養、燈篭、盆踊り
【八月】
越路の雁、萩の下葉、早稲田、虫の声々、月(十五夜、桂、洞庭湖、更科、姨捨、二見が浦、清見が関、広沢の池、須磨明石)
【九月】
野分、すすき、萩の葉、蝉の抜殻、草の間垣の露、重陽(菊慈童、仙人、延年草、菊酒)
【十月】
出雲の神有月、笹船、北時雨、紅葉(龍田明神、蜀江、稲荷山、高雄、清滝)、土器投げ
【十一月】
霜柱、庭火(天照大神、スサノオ、天の岩戸、八咫の鏡、思兼、天の香久山、神楽舞)
【十二月】
師走の月夜、正月準備(すす払い、門松、ゆづり葉、注連飾り、鏡餅)、節季候、大晦の夜(たいまつ、掛金とり、若水、屠蘇白散

『常照-佛教大学図書館報 第52号』より (PDF:3.9MB)

紺地に金糸織模様のある布表紙、濃紫の平紐を巻き、見返しには金の箔を置く。厚手鳥子紙に金の下絵を施した本紙は裏地にも雲母を引き、金の切箔を散らした豪華な絵巻である。本紙は狭い部分で幅七・七、広いところでは九五センチをこえる紙を継いでいる。