原文

龍乃口御難

弘長元年五月十三日
平の重時が謀として相州竜の口にて誅せらるへしとて敷革に座せしめける時
日蓮心中に題目をとなへ給へば
天俄にかき曇り辰巳の方よりしんとうらいてんすさましくひらめき
太刀を段々にくたき眼くらみたましゐをけす
けいこの武士も落馬せしかは相模の守大におとき
上人の死罪をなため給ひけり
其後後宇多の院の御宇
壬午十月十三日武蔵國池上左衛門太夫宗仲か家にて迁化御年六十一才也