原文

【十五之巻】風流絵本出来之分

傾城しだれ柳 けいせいみだれ藤 役者つたかづら
武者よろひ桜 むしや矢立の杉 武者ゑびらの梅
唐絵あやね竹 からゑからくれなゐ 仙人高麗きく
鳥もゝ千鳥 けた物み山しか 草花はなくるま
山水山の井 とうさくなはしろ水 八景びわのうみ
狂絵鬼ゆり くるひゑのり合舟 狂絵おかのまつ
涼み扇ながし はなみ木の下陰 樹木峯の紅葉
花車いろ絵梅 いくさくれはとり 源平むしや薄
七福人の像 (虫損につき判読不能)繪本箱入
右は花洛の神社佛閣に名筆といへる
ふるき絵馬を大和繪師
是をとめさせ畫工の便または童蒙の慰
にもならんかと櫻板にちりばめ侍り猶此
巻にもれたるは跡祭段々世に行ふ者也
元禄十六癸未載正月吉祥日
寺町通二条下ル二町目
洛陽繪本書肆 金屋平右衛門板

解説

最後の巻十五は「風流絵本出来之分」として本書の版元である寺町通の繪本書肆・金屋平右衛門の出版広告一葉で始まっています。この巻には北野社、観世一代能、平野社、鹿苑寺、等持院、龍安寺、妙心寺とつづき、目録(目次)にはない御室仁和寺で締めくくられています。