原文

霊山正法寺 寺領廿三石五斗

傳教大師の開基
中興國阿上人
此上人は大ぼだい心あり
じひふかく伊勢大神宮へ足駄はきて日参す
ある時道中に女の屍ありけるを
あはれみてうづみ通り給へり
かの女は太神宮化して
上人の心をためし給ふとなり
上人重穢のおとがめを恐れ下向せんとし給ふに
くるしからずとつげありければ
すぐに参宮ありし
此故に参宮の人は首途の前日
此上人に参りぬれば忌あるものも
のがるゝとぞ
此山の坊舎は惣て都人の會合に借さしむ事日夜をわかたず
本尊阿弥陀佛まします
につことわらい給へる御口より白き歯の見ゆるゆへに世に歯佛と号す