図書館と著作権(36-2)

 図書館、特に大学図書館は、利用者の教育ならびに研究に資するとともに、図書資料およびその他学術情報を収集、蓄積し、広く学術の発展に寄与する役割を担っています。そのため、大学図書館は、多岐にわたる資料を所蔵していますが、これら多くの著作物は著作権法による保護の対象となっています。
 さて、今回は、この著作権法を踏まえての当館設備ならびに当館所蔵資料の取り扱いについてお話しします。利用者皆さまのご理解ご協力をお願いします。

[図書館コピー機の利用]
 図書館では、著作者の許諾なしに図書館資料を著作権法の範囲内で複写することができます。ただし、以下の制約がありますので、必ず遵守してください。
 ・複写目的は、学術研究調査のためである。
 ・複写可能な範囲は、著作物の一部分(半分以下)である。
 ・著作権者の死後50年を経過しなければ、著作物の半分以上の複写は不可(半分以上の複写は、著作権者の許諾を必要とする)。
 ・雑誌に掲載された各論文その他の記事はその全部の複写は可。ただし、刊行後相当期間(次号が既刊されたもの、刊行後3ヶ月経過したもの)に限る。
 ・複写の部数は、1人につき1部である。
 なお、図書館のコピー機は、上述のとおり「図書館資料の学術研究調査のための複写」を目的に設置していますので、個人の持ち込み資料や私的なノート等の複写はできません。また、複写を行う場合は必ず、コピー機隣に備えてある「文献複写申込書」に複写する書名(誌名)、巻号、出版年、ページ数、合計複写枚数等を記入し、提出(専用箱へ投函)してください。

[図書館資料の付録(CD-ROMやDVDなど)の貸出]
 図書館資料の付録として添付されているCD-ROM(音楽CD等含む)やDVDについて、貸出不可(禁帯出)とする場合があります。これは、CD-ROMなどに著作物を収容する記録媒体、たとえば映画、映画の効果に類似した表現方法を用いた内容のもの、またプログラム中に、使用の際に対価を要求する「商用ソフトウェア」あるいは「シェアウェア」等を含むものには、著作権者の承諾を必要とする「頒布権」が付されているためです。

[オンラインデータベースからのプリンタアウトやダウンロード]
 オンラインデータベースは、配信元と図書館との契約により、利用可能となります(学内のみ利用可)。利用できるデータベースの多くは契約上、プリントアウト、ダウンロードが認められています。しかし、紙媒体同様、電子ジャーナル各号における半分以上のダウンロードは、先に触れた著作権法での制約に反しており、また短時間での大量のダウンロードは、私的利用の範囲を逸脱した、悪質な利用と見做されます。必要なときに必要な資料だけをダウンロードしてください。

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  • 著作権法第三十一条(図書館等における複製)
  •  図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
     一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合
     二 図書館資料の保存のため必要がある場合
     三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合?