授菩薩戒儀則

じゅぼさつかいぎそく

本書は、浄土宗における授戒作法を示した(1)『授菩薩戒儀則』、(2)『授菩薩戒儀』、そして説戒作法を示した(3)『圓頓菩薩戒布薩式』の三部が合冊された享保10年(1725)の写本です。(1)と(2)はほぼ同じ内容と手順が示されており、現在も関東では(1)を、関西では(2)をそれぞれ用いて円頓戒の授与が行われております。また、(3)は近世浄土宗において僧侶資格を取得した後に、半月ごとに行う布薩儀式における説戒の次第を解説したテキストです。

これら三部の中でもとくに目を引くのは(2)です。これまで最古の写本は明和5年(1768)のテキストでしたが、残念なことに戦後の混乱によって散逸してしまい、今では昭和14年に翻刻刊行された『昭和新訂 授菩薩戒儀』における活字資料として現存しているにすぎません。(2)の存在は、散逸した明和5年よりも更に43年も遡る最古の写本ということになります。なお、(1)も含牛系のテキストの中では最古写本であり、(3)も書写年時が明確な布薩式の中では最古に属します。

このように本書は浄土宗の授戒作法と説戒作法のテキストとして、どれもみな稀覯書ということになります。また、奥書からは享保7(1722)年の夏に、梁道、玄達、大圓の三学僧が参集し、僧侶養成に必要な統一テキストを作成する目的で本書を校訂していたことも新たにわかりました。

『常照-佛教大学図書館報 第60号』 (PDF:6.3MB)