古經題跋

こきょうだいばつ

有匡 半面十行二十字 縦二二・七糎、横十六糎 袋綴本文久三年(一八六三)年序刊

徹定の古経蒐集は、もとより正確な原典として古写経に依るべしとの立場にもとづくものである。埼玉県岩槻浄国寺に住職の頃、文久三年(一八六三)年冬の自序に、嘉永五年(一八五二)年の秋に始めて京都奈良の古刹に古経を訪ねて西魏の「菩薩処胎経」、唐の「大樓炭経」など千余巻の古経を拝見したが、いずれもみな千年以上の希世の鴻宝であるとし、これらの諸経の題跋を抄録して考証の資としたいと記している。巻首の高野山明王院増隆の叙は己巳(明治二年)晩秋とあり、本書の刊行は明治二年秋以降となる『譯場列位』と同じく、同好のものに頒布し行肆の出版を許さずとしている。東大寺、唐招堤寺、薬師寺、石山寺その他の多数の全国各地の名刹の所属する古写経、版本大蔵経などからの題跋類を収録したものである。今日ではその所在を佚したものも多く、日本考証学上の貴重な資料として知られる。

『佛教大学図書館蔵貴重書図録』より