デジタルコレクションに「京雀」「佛道修行教文」「檀林巡路記」「淨花院霊寳縁起」を追加しました

デジタルコレクション「京雀」「佛道修行教文」「檀林巡路記」「浄華院靈寳之縁起」を追加しました。

京雀
 江戸時代の京都地誌で、仮名草子作者として名高い江戸時代前期の僧侶浅井了意の作。京都地誌の嚆矢といわれる明暦4年(1658)刊『京童(きょうわらんべ)』につづくもので、『京童』が社寺の縁起・来歴や読み物としての内容に力を入れているのに対し、『京雀』はその影響を受けながらも各巻に付けられた名「大内の巻」「北より南へ縦町」「東より西の野はづれまで横町」「堀川より西の北南の縦町」「寺町の東川原町縦横」によっても実用性が重視されていることがわかる。『京童』にも『京雀』にもそれぞれ寛文7年(1667)『京童跡追』、延宝6年(1687)『京雀跡追』が続編として刊行されている。『京雀』には山田市郎兵衛板と田中文内板の二種が知られる。
 本書は田中文内梓行の刊本で、元題簽も剥落せず残っている。
『佛教大学附属図書館所蔵 貴重古典籍目録』より

佛道修行教文
 本書の書名は本文冒頭に「佛道修行教文」とあることによる。ただし、『真宗大系 36 異義集』や『真宗史料集成』5巻に収められている「佛道修行教文」は同名異書である。  書名は「佛道修行教文」とあるものの、内容は「阿弥陀の本地」または「法蔵比丘」の名で知られる室町物語であり、松本隆信氏の「阿弥陀の本地」の分類によれば甲類に属す。室町前・中期頃の写本と推測される。『七寺古逸經典研究叢書』第4巻に影印と全文の翻刻がある。
参考文献 牧野和夫「佛教大学圖書館藏『佛道修行教文 本』解説」(『七寺古逸經典研究叢書』第4巻)、松本隆信『中世における本地物の研究』

檀林巡路記
 増上寺の僧侶であった摂門(竹尾善筑)が記した関東十八檀林の順拝記。竹尾善筑(1781-1839)は明和事件で刑死した思想家・山縣大弐の孫であり、増上寺の寺誌である「三縁寺志」や、「十八檀林誌」なども著した。
 関東十八檀林は浄土宗の僧の学問所として江戸幕府が定めた十八ヶ寺を指す。本書には著者自身が参拝した第一番増上寺から第十八番の光明寺までの18ヶ寺について、開山、寺領、境内堂舎、別当所、別院、坊中、山内名所などが記される。また、各寺院間にある村々の名や、他宗派寺院の概要、河川などについての記述があり、地誌の特徴も備える。
参考文献 森銑三「山縣大弐の孫竹尾善筑」(『森銑三著作集』第7巻)

淨花院霊寳縁起
 浄土宗七大本山の一つ、清浄華院(しょうじょうけいん)の宝物の由来を記した資料。長禄3年(1459)、良秀の奥書があるが、自筆本ではなく、写本と考えられる。良秀は浄華院十一世住持であった。清浄華院に残る葉室頼業筆「浄華院由記」(正保3年[1646])には、本書に類似する内容の「本寺浄華院霊宝之目録」が含まれる。ただし、本書は仮名交じりで書かれているのに対し、「浄華院由記」は漢文で書かれている。
参考文献 『清浄華院の名宝』(佛教大学宗教文化ミュージアム) 、清浄華院史料編纂室編『清浄華院―その歴史と遺宝―』 、中井真孝「『浄花院霊宝縁起』について」(『常照』31号)