「何を読んだらいいのかわからない」「内容が難しい本や分厚い本は嫌だ」という声を耳にします。そんなときに、読書のきっかけとなるのが本のガイドブック、いわゆる「本の本」です。本誌6月号(№29)の当コーナーで「本の本」と題し、松岡正剛著『千夜千冊』を取り上げ、読書案内本について触れました。
今回紹介する資料は、「本を読むことの意味」をわかりやすく解説している、『本を読む本』です。
著書は、冒頭で「これは「本を読む人」のための本である。「これから本を読みたい人」のための本である。」とし、「読書には四つのレベルがある」と述べています。その4つとは、最初は「初級読書」、第二に「点検読書」、第三に「分析読書」、そして最高レベルとして「シントピカル読書」(比較読書法)。読書技術を高めるには、この四つのレベルの違いを心得ていることが大切であると述べています。このレベルを上げること、つまり知識を得、理解を深めていく、積極性の高い読書ほど、良い読書であると指摘しています。また、読書の本質を見つめた、斎藤孝著『読書力』も、「精神の緊張を伴う読書」を薦め、自己形成に読書は不可欠であると述べています(巻末に著者推薦の文庫100タイトルが挙げられており、これも大いに参考となります)。
図書館には、読書、読書法について著された本がたくさんあります。研究、学習に役立てていただくことはもちろん、本誌読者の「読書」が習慣化することに期待しています。
最後に、次年度の本誌では、本学専任教職員が様々な分野の本を3点選定し、その本にまつわるエピソードを紹介する予定ですが、この企画のきっかけ?となった、『本読みの達人が選んだ「この3冊」』も、「本の本」として大変読み応えのある本です。