佛教大学図書館の歴史と使命 ―佛教古典籍を中心に―

佛教大学図書館図書課長 藤堂祐亨

佛教大学図書館は昭和9年、ここ紫野に建設された。この年、本学は鹿ケ谷より校地をこの地に移し、新学舎が建設されることとなった。それを機に、浄土宗檀信徒上村常治郎の遺志を受けたご遺族に資金提供を受けて「成徳常照館」と命名された図書館が誕生したのである。昭和38年、開学50周年を期して地上2階並びに書庫の増築を行っている。さらに開学60周年を記念して教団同窓保護者の支援によって、地上5階地下1階の複合図書館棟が建設された。私が学生として在籍した頃のことである。その建物は現在の9号館で、現図書館(平成9年4月竣工開館)の前身にあたり、紫野校地再整備のため、まもなく解体される。

当時の図書館長は小野則秋教授であり、新しい器の中に収められる蔵書(その頃は約15万冊)もひとつの変革を待っていた。昭和48年4月、本学図書館は日本十進分類表による分類法(NDC分類)を採用することになったのである。浄土宗の僧侶養成機関として設立された本学の蔵書は仏教とくに浄土教関係の書籍を中心に構築されてきたため、それらに適用された分類はそれらに対応する本学独自の分類法であった。しかし、学部学科の新・増設や学問分野の多様な展開は蔵書数の増大のみならず内容の多様化を伴うものであり、それに対応できる分類法が求められるようになったのである。

NDC分類はおもに洋装本に適用されてきたのであるが、和古書については、上記独自分類のままであったものを、昭和54年に、「国書」「佛書」「宗書」の3種に変更した。

また、カード目録にて利用に供していた浄土宗諸寺院からの寄贈古典籍について、冊子体文庫目録の作成を開始した。昭和54年3月の「成願寺文庫」を皮切りに、昭和55年8月に「酉谷寺文庫」、同年10月「萬福寺文庫」、昭和61年3月「天性寺文庫」と、手書きの目録稿が刊行された。

また仏教文化研究所により、昭和55年『佛教大学図書館所蔵和漢書中 浄土宗学関係書籍目録稿』が、昭和63年6月、その後の収蔵書や分類変更分を含めて、『佛教大学図書館所蔵和漢書中 続浄土宗学関係書籍目録稿』が、続いて8月、『佛教大学図書館所蔵和漢書中 佛書目録稿』が刊行された。平成元年10月後2書が合本され、『佛教大学図書館蔵 佛教関係和古書目録稿』として刊行された。

国書については、昭和63年10月『佛教大学図書館蔵 和古書目録稿』が、平成3年1月『佛教大学図書館蔵 和古書追加目録』が刊行された。

1990年頃には日本の大学図書館目録はコンピュータの時代へと変わりつつあった。平成3年6月、本学でも図書館コンピュータシステムの導入が決定され、翌年から本稼動を始めた。学術情報センター(現国立情報学研究所)に参加接続し、全国の大学図書館の共同作業によるオンライン・コンピュータ目録作成を開始したのである。コンピュータ目録へのデータ入力は通常整理から遡及整理へと拡大し、本学における古典籍も、現在ではコンピュータにデータ入力することで、目録作成、再整理を行い、現代人の利用者の検索に応えることを目指している。

平成23年、開学100周年を迎えるにあたり、古典籍の整理、なかでも佛書、宗書、寺院文庫のデータ入力に努めているところであるが、今後は加えて軸物など視覚的資料については視覚も導入した目録の構築も考えていかなければならないと思っている。