図書館の本を大切に扱ってください!! (17-2)

 最近、図書館の図書・雑誌への書き込み、折り癖などが増えています。さらにひどい場合は、切り抜きされて読めなくなっていることもあります。このような心無い一部の利用者の身勝手な行いのために、他の利用者の方々や私共図書館職員は大変腹立たしい思いとともに悲しい気持ちになっております。
先日、通信教育課程の学生さんから次のようなお手紙をいただきました。

(前略)
 貸出送本ありがとうございました。私はスクーリング予習のために『学力論争とはなんだったのか』(山内乾史・原清治著)を送付していただきました。
 従来、本を借り受け、少々の鉛筆の書き込みは消して返却して参りましたが、この度この本を開いて驚きました。目次は丸印や鉛筆線を何重にも入れ、その裏側一面には落書き。20~26、84、87、89、140、212その他落書き。それと頁の角を何箇所も折りそのままの状態で放置している。一旦は消そうと思い何箇所か消しました。しかし、状況を確認していただくためこのまま返却いたします。

 『日本書誌学を学ぶ人のために』(廣庭基介・長友千代治著)の中から簡単に引用いたしました。本の扱い方を江戸時代の儒学者細野要斎が、教示されています。
「江戸時代の本の取り扱い方について、こと細かく学習成果に配慮して教示されている。
① 聖賢の書は殊更大切に取り扱い、かりそめにも床の上に直に置くべからず。
② 書を披きては拝をして読み、読み終わりてはまた拝をして書をしまうべし。
③ 幅を折るべからず。手に唾をつけて刎ぬべからず。仮名をうつべからず。
④ 用事ありて立つ時は巻を掩ふて立つべし。披いたまま立つべからず。など」??

 図書館の本は多くの学生が利用するもので、自分の使った後も多くの人が志をもって学習する貴重な書物です。そのことを公共の本を利用する学生は心に止めてもらいたい。正直のところとても嫌な気分です。
 大勢の人が知識を得るこの一冊の書は、研究者が並々ならない労力を費やしておられるということや、仮に個人が買い求めた本でも他人の苦労に心を配る気持ちを持ってほしい。利用する人達にくれぐれも大事に扱ってほしいと切に願ってなまいきにも一筆したためた次第です。
(後略)
 

 今回、このようなお手紙をいただき、利用者の生の声として皆様の心に響くのではないかと思い、ご本人に許可を得て掲載させていただきました。すべての利用者の方が、図書館の本に対して同じ思いを持ち、丁寧に取り扱っていただけることを願っています。
 また、私共図書館職員もこのような状態になるまで気がつかず貸出を行っていたことを深く反省し、今後の図書館サービスにおける課題として真摯に受け止めております。佛教大学図書館に対して、ご意見・ご質問等がございましたら是非図書館情報サービス係宛に郵送・FAX・E-mailでお寄せいただければ幸いです。

以下「傷だらけの本の展示会」(2007年1月実施)時の写真を再掲載します。