デジタルコレクションに「光明真言初心要抄」「表無表色章」「三國佛法傳通縁起」「釋四分律含注戒本疏科」を追加しました。

デジタルコレクションに「光明真言初心要抄」「表無表色章」「三國佛法傳通縁起」「釋四分律含注戒本疏科」を追加しました。

光明真言初心要抄
江戸時代初期の僧・頼慶(1562-1610)の著。頼慶は徳川家康の信頼を得て、慶長7(1602)年11月江戸城で行われた浄土宗と日蓮宗の宗論の判者をつとめた人物である。
本資料は古活字版で、高野山で刊行されたいわゆる高野版である。巻末には「慶長九年丙辰十月廿一日依初入者之嘱注 東寺末葉桑門頼慶」とあるが、干支の「丙辰」は誤りで「甲辰」が正しい。
巻頭には「寶玲文庫」、「春龢堂」、「和賀」の印があり、また巻末には「鉤地山周英」の墨書がある。「寶玲文庫」の印主は蔵書家で知られるフランク・ホーレー、「春龢堂」は京都の古書店・春和堂の印である。
参考文献 「頼慶」(『国史大辞典』)

表無表色章
鎌倉時代の僧・叡尊(1201-1290)の著。古活字版。刊記は「寛永二拾年癸未仲秋 三條通菱屋町 林甚右衛門 開之」とあり、京都の書肆・林甚右衛門による刊行である。林甚右衛門は本書のほかに『四分律行事鈔資持記』(正保3〈1646〉年刊)、『四分律刪繁補隨機羯磨疏済縁記』(慶安5〈1652〉年刊)を活字版で刊行している。
参考文献 川瀬一馬『増補古活字版之研究』

三國佛法傳通縁起
東大寺の凝然による、インド、中国、日本の三国における仏法伝通について述べた書。応長元(1311)年成立。本資料は無刊記の古活字版であるが、「三國佛法傳通縁起」の古活字版には次の四種があるという。
(1)慶長期刊行、双辺無界、10行20字、(2)慶長期刊行、双辺無界、11行20字、(3)元和期刊行、無辺無界、11行20字、(4)慶長期刊行、双辺無界、10行20字 ※(2)の同種異植字版
本資料は無辺無界、11行20字なので、このうち(3)に該当する。
参考文献 川瀬一馬『増補古活字版之研究』

釋四分律含注戒本疏科
宋代の元照が唐代の道宣の書を注釈したもの。古活字版。上下二巻のうちの上巻のみが残る。
本資料は国立国会図書館所蔵の『釋四分律含注戒本疏科』(無刊記)と同版と思われるが、同館で所蔵する四分律関係の古活字版には「慶安五壬辰歳吉旦 三條通菱屋町婦屋 林甚右衛門尉板行」(『四分律刪補隨機羯磨疏濟縁記』)、「正保三年丙戌暦 三條通菱屋町婦屋 林甚右衛門」(『四分律行事鈔資持記』)の刊記があることから、『釋四分律含注戒本疏科』もこれらの書と同時期に林甚右衛門によって刊行されたものではないかと推測されている。
参考文献 「新指定貴重書のご紹介」(『国立国会図書館月報』平成20年12月号)