デジタルコレクションに「大經直談要註記」「無量壽經優婆提舎願生偈婆藪槃頭造并注」「無量壽經鈔」を追加しました。
大經直談要註記
浄土宗の根本聖典である浄土三部経(「無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」)のうち「無量寿経」の注釈書。浄土宗第八祖・聖聰の著。永享5年(1433)成立。全24巻だが、本学所蔵のものは巻5-8、11-12の6巻のみが残っている。書名に「直談」とあることから、本来は著作として作られたものではなく講義記録として成立したものと考えられている。
「大経直談要註記」の古活字版には、①元和・寛永頃のもの(国立国会図書館蔵)と、②慶長19年から正保年間のもの(本学および大正大学所蔵)の2種が知られる。
参考文献:岸一英「『大経直談要註記』について」(『聖聰上人典籍研究』)
無量壽經優婆提舎願生偈婆藪槃頭造并注
世親の「無量寿経優婆提舎」に対する注釈書で、北魏の曇鸞(476~542?)の著。「往生論註」ともいう。本書は写本であり、後見返貼紙の墨書は「覺如上人真筆/墨附五十三枚/凡六百三十五行」(上巻)、「覺如上人真筆/墨附六十二枚/凡七百四十五行」(下巻)となっている。覚如は鎌倉後期の浄土真宗の僧で、本願寺三世。奥書では「覚如上人真筆」とあるが、覚如の書ではなく、室町時代の写本と推測される。
参考文献:辻本俊郎「伝覚如書写本『無量寿経論註』について」(『アジア文化学科年報』8号) 、佛教大学総合研究所紀要別冊『浄土教の総合的研究』(1999年)
無量壽經鈔
鎌倉時代の僧・了慧道光(1243-1330)が永仁4年(1296)に撰述した「仏説無量壽経」の注釈書。本書は「洛陽七條寺内平井近江法橋良專開板/于時慶長二十年乙夘初夏上旬」の刊記をもつ古活字版である。本学にはこのほか慶長20年の古活字版で巻1、4を欠くものや、寛永元年の古活字版がある。「洛陽七條寺内」とあるが本願寺内ではなく本願寺門前町内という意味であるという。
参考文献:浄空法師編『無量寿経註釈叢書』第1巻、藤堂祐範編『浄土教古活字版圖録』