デジタルコレクションに「金谷道人御一代記」「清凉寺縁起繪詞」を追加しました。
金谷道人御一代記
江戸中期から後期の僧・横井金谷(1761-1832)が自らの半生を綴った絵巻。全7巻。横井金谷は、京都金谷山極楽寺の住職であった。「金谷上人御一代記」は『日本庶民生活史料集成』に全文翻刻されているが、解題では、「作者は生涯のうちに、幾本かの巻子本を需められるままに作ったであろう」と推測されている。現在伝わる「金谷上人御一代記」の写本は、冊子本の体裁であるものも多いというが、本学所蔵のものは巻子本で、各巻頭に「金谷」「大寶主人」印がある。なお、『日本庶民生活史料集成』に翻刻されている「金谷上人御一代記」や、国立国会図書館蔵の絵入り三冊本には序文があるが、本学所蔵の巻子本には序文がない。
参考文献:『日本庶民生活史料集成』第16巻 奇談・紀聞
清凉寺縁起繪詞
京都嵯峨清凉寺の釈迦如来像の由来を記す絵巻。「釈迦堂縁起」ともいう。原本は清凉寺所蔵で、永正12年(1515)頃の成立。原本の詞書は青蓮院尊応准后(1432-1514)、絵は狩野元信筆とされるが、詞書の筆者は年代的に矛盾する。原本、本絵巻とも全6巻のうち第6巻は詞書のみで絵はない。
原本には彩色があるが、本絵巻は白描である。また、原本では細かく書き込まれている瓦の模様なども、本絵巻では省略されている。第1巻のみ、絵に「朱」「アイ」などと色の指定があり、一部に彩色が施されている。詞書の字体や改行位置、内容はほぼ原本と同じである。本絵巻は江戸時代中期頃の制作と推測される。
参考文献・梅津次郎「釈迦堂縁起」(『国史大辞典』)、奈良国立博物館監修『社寺縁起絵』