デジタルコレクションに「譯塲列位」「十二問答」「秘密漫荼羅教付法傳」を追加しました。
譯塲列位
浄土宗の僧侶、鵜飼徹定(1814-91)の著。法隆寺、西大寺、高山寺、増上寺その他で閲覧した諸経に附された経典の訳場に関与した諸人の役分、官位などを列挙したものを記録して後人の参考に資したものである。『古経題跋』とならんで、日本仏教界における考証学の嚆矢となる。
『佛教大学図書館蔵貴重書図録』より
十二問答
法然の遺文集「黒谷上人語燈録」のうち、和語で書かれた「和語燈録」第4巻の「十二問答」部分の写本である。ただし問答の数は一つ少ない十一である。
本文末尾に「康永二年十一月十八日 佛子祐玄(花押)」とあることから、本書は康永2年(1256)の書写と考えられる。この書写年が正しいものであれば、「和語燈録」の序文の年記(文永12 [1275])より古い。
また巻末には「茲書一帖十一枚首尾一同而黒谷法然上人之真筆也・・・(中略)・・・後住総州飯沼賜紫沙門弘経寺 以傳叟謹書」とある慶安4年(1651)の極書が追加されている。
秘密漫荼羅教付法傳
真言宗の開祖、空海の著。密教を伝えた七祖の伝を述べる。全2巻のうち、巻2のみが残る古活字版である。
本書の巻頭には古活字版の収集で知られる蔵書家・中島仁之助氏の蔵書印(「春翠文庫」)があり、元は中島氏の所蔵であったことが分かる。
この中島氏蔵の『秘密漫荼羅教付法傳』について、川瀬一馬『増補古活字版之研究』では、慶長年間(17世紀初)に高野山において出版されたものと推測されている。
参考文献 『国史大辞典』、川瀬一馬『増補古活字版之研究』