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いはや : 上

イワヤ : ジョウ Iwaya :Jo
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【03】

そもゝせいわてんわうの御とき三条ほ
り河に中納言ありすへのきやうと
申人おはしけるかいへとみさかへ何事
につけてもともしき事ましまさね
はよろつ御心にかなはぬといふ事な
ししかるに大田のみかとのみやしら
河のひめきみと申を見給ひしより
御こゝろあくかれさまゝ御心をつくさせ
給へともなひかせ給ふけしきもおはし
まさてあかしくらし給ふところに御心さし

【04】

のいろふかくありしかはなんによのならひ
のわりなさはうらふくかせとつゐになひかせ
給ひけりたひかさなれは人しりてま
ことに雲の上人ももてなしかしつき
たてまつるちきりくちせぬ
ならひにてみやくわいにんし給ひぬ
月日かさなれはほとなく御さん
へいあんせさせ給ふあたりも
かゝやくはかりなるひめきみ
にてそおはしける

【05】

中なこん世にうれしくおほしめしゐつ
きかしつき給ふことかきりなし御と
しのゆくにしたかひていよゝねひま
さりまたひわことなとをも十さいより
うちにてそのみなもとをきはめよう
もんほうもんこゝろにかけてつねは御
ほんそんの御まへにまいりむしやうを
くはんしあはれみをなし給ふされは
もんしゆのけけんとみな人申あひけり
さるあいた此ひめきみ十の御とし三月

十五日のあかつきよりはゝみや風のこゝち
とてなやみ給ふかしたひにおもりて十八
日のあかつきつゐにはかなくなり
たまふ御とし廿八おしかるへき御よ
はひなり中なこんおなしみちにと
かなしみ給へともひめきみの御ゆくゑ
おほつかなくてちからをよはすしやう
しむしやうのならひとりへ野のほとり
にをくり御あとのいとなみさまゝとり
おこなひ給ふ御かたみにはひめきみを

【06】

あけくれまほり給ふつなかぬ月日なれ
はほとなくいつしうきたい三年もす
きにけりさてあるへき事ならすとて
御一もんの人ゝすゝめ給ひてはしめ
てきたのかたをむかへさせたまふかひめきみ
に一つあねなる御むすめをもち給へり
我ひめきみ人のひめきみもへたてなく
おろかなるましとてむかへ給ひけりさて

きたのかためやすくもてなし給へは中
なこんよにうれしくそおほしける
きたのかたいらせ給ふ日よりにしのたいを
しつらひ玉のことくみかきたて宮はら
のひめきみをすへをき給ひけりそれより
たいのやのひめきみとは申けれあけ
くれはゝみやの御事のみおほしめし
て御ほんそんの御まへにはかりおはし
ますさてまちかくおはします右大
臣と申人のひとり子四位のせうしやう
と申人かのたいのやの御事をきゝ給ひ
てめのとをかたらひ中なこんとのに申給

【07】

へはいかゝあるへきとおほしめして
申けるはなにかくるしう候へき右大臣
のひとり子にて御さ候へは露をろか候ま
し御たうしんあれかしと申せはさら
はとてりやうしやう申させ給ひけりされ
はいかなるけしきの事にやたいのや十
三の御としちゝ中なこんつくしのそ
つになり給ふかたさいふのたひに
おもむき給ふかきたのかたおや子たい
のやのひめきみをもくし給ふへき

よしきこへけれは四位のせうしやうめの
として中なこんとのへのたまふはちんせい
まてはなみのうへおほつかなく侍れは
たいのやをはみやこにとゝめ給へか
しとても御やくそくの事にて候へは
と申されけれは中なこんおほせられ
けるはたさいふへ下るへきにはあら
ねともたいのやはゝうへにをくれてのち
いつとなくつゆおもけなるありさま
をいつかははるへきしのひかねたる

【08】

袖のうへほしあへぬさまのかなしみをい
つなくさむへしともおほえねはひき
くしてうらゝしまゝをもみせんため
きたの御かたおや子をもたいのやのと
きにくするなれはたいのやとゝめん
事はゆめゝかなふ
ましきよしをのたまふ
せうしやうちからをよはす
さてみやこを
たちてよとへ

つき給へは
せうしやうもよとまて
下りてさまゝとゝめ
申されけれとも
かなはすして
すてにともつなときて
御舟ともいたしけれは
せうしやうみをくり
給ひてなくゝ
みやこへかへられけり

【09】

さてそつとのくたり給へは江くちかんさき
のゆうくんともまいりけるそつとの御らん
して我をおもはゝたいのやのふねを
もてなせとありけれはゆうくんとも
たいのやのふねにまいりいまやうをも
しろくうたひすましけれはれうら
きんしうをかすしらすたひにけり
にしのみやなんくうのおきをすきて
つくしへとをり給ふかそつとのははりま
のこくしにておはしけれははりま

【10】

のかみあかしにて御まふけをかまへもて
なしたてまつる七日のたうりうとひ
ろうすきこゆるあかしのうらなれは
いろある袖にそやとりけるひかるけん
しの大将のすまよりあかしのうらつたひ
よせくるなみをなかむれはくたけて月
そやとりけるとなかめしたゝなわた
つけふりはるかすみにそにたり
けるまつふくかせなみのをといとふ
あらしのとまやかたみきわにたつ

ゑいやこゑあまのつりふねおもしろく
かのゆきひらの中なこんもしほたれつゝ
とゑいしもあまのたくものゆふけふり
さなからうすゝみのゑにそにたりけり
たうこくしよしやの山ひろさわよりき
よけなるゆうくんともまいりたりたい
のやのふねをもてなせとありけれは
かの御ふねにそあつまりけるくわん
さつの袖をひるかへしはんみんきよ
くをもよほしきたひのあそひなりその

【11】

とききたのかためのとの佐藤さへもんをめ
しての給ふやう我心におもふ事あり
かなへんとおもはゝしらせんとありけれは
さたいへかしこまりて申やう千き万き
のかたきの中またいかなるはんしやくを
くたきはりて入みちなりともおほせ
をいかてそふくへきと申けれはきたの
かたうちゑみ給ひて此事ゆめく人に
しらすなこゝろのうらみといふは我も人も
たゝひとりつゝもちたるひめそかしわか

ひめをはおや子ともおもはぬありさま
にてたゝたいのやをのみもてなし給
ふこそほいなけれすゑの世こそおもひ
やらるれなにともしてたいのやをぬ
すみいたし海へしつめよとありけれは
やすき御事なりと申きたのかた此事
かなひてあらはみつからはゝうへよりたま
はりたるみうらをなんちか心にまかせよと
の給へはさたいへそれまても候ましさら
はゆふさりぬすみいたしまいらせ候へし

【12】

御こゝろへわたらせ給へと申せはなのめならす
よろこひ給ふさてはりまのかみあまりの御
もてなしにけつかうに御ゆとのこしらへ
てたいのやを入たてまつるまゝはゝよき
事とおもひわれも御ゆとのへまいらんと
ていろくのさかなにさけそへてもた
せまいりてめのとかいしやくそのほかの女
はうたちにいたるまてよくくさけを
しゐたまひしかはみなく申けるはまゝ
はゝにてわたらせ給へともちゝ大事に

おほしめすひめきみなるによりかやう
にかいしやくあそはすかゝるまゝ母よに
あらしとおもひけるこそはかなけれ
さてみなくはせんこもしらすゑいけ
れはまゝ母のたまふは人くはさけにゑひ
たまふみつから御かいしやくしたてま
つらんとていれたまふさてあからんとし
給へはいまちとゝひきとめてきえいる
ほとあつきゆをあひせ給へはなくく
やうくあからせ給ふ七日にもなりぬれは

【13】

あかつき御舟いたすへしとてをのくふ
ねにめしぬさるほとに夜ふけぬれは
さたうさへもんは小舟にのりたいのや
の御ふねにこきつきのりうつりおの
れかふねをせかいにつなきてやかたの内
をみれは三月十八日の夜の事なるに
はゝみやの御めい日とてらいかうのあみ
のゑさう一ふくかけたてまつりせう
かうのにほひくんしてひめきみは御ほん
そんの御まへにうら山ふきの十二もへ

きのうちきこきくれなゐのはかまめし
て御手には
こんていのほけきやうみな
すいしやうのしゆすとりそへ
もたせ給へるとおほしきか
御ゆにくたひれさせ給ひて
つくゑによりかゝり
ねふりましますか
御きやうしゆすつくへ
におちてそありけり

【14】

さたうさへもんやはらさしより御きやうし
ゆすまつとりてそてにさしいれともし
火うちけしかきいたきたてまつるめ
のとかとおほしめし御手をさしのへいた
かれ給ふつやく御めもあかさせたま
はすさたうさへもんおのれかふねにのりう
つりはるかのおきへこきいつるさて
このまゝうみにいれたてまつるへき
かいやくをこしたてまつりりんちう
をすゝめ申さんとおもひおこしたてまつり

【15】

けれはひめきみおとろきたまひてあた
りをみたまへはめしたる御ふねにはあら
ていやしきおとこ一人ゐたりこれはゆめ
かやとおほしめしいかなることそとの
たまへはこれはまゝはゝ御せんの御かたに
さたうさへもんと申ものにて候かいかなる
御とかやらんうみへしつめよとおほせ候
御りんちうのねんふつ申させ給へと申
せはひめきみきこしめしわれなにの
とかありともおほへすさりなからなんち

こゝろありてりんちうをしらすること
のうれしさよとてものなさけにしは
しのいとまをゑさせよはゝうへにをくれた
てまつりてのちまい日御きやうよみた
てまつるにまゝ母御せんけしからす
ゆをあひせたまひしかはそのくたひれ
によりてけふは御きやうよみはてすよみ
はてなはしつめよとおほせけれはさ
たうさへもんふところより御きやうしゆすとり
いたしたてまつるひめきみうれしくお

【16】

ほしめしさて御きやう三くはんあそはして
一くわんの御きやうはこの世にましますちゝ
けんせあんをん こしやうせんしよのためた
とひその身はならくにしつみ給ふともこ
の御きやうのくりきにてわれく一つは
ちすのうてなにむかへとり給へゆへなき事
にまゝはゝ御せんにたゝいまうみへしつめ
られ候まことのはゝうへ此世にましまさ
はかゝるうきめはみ候はし物をとこひしく
おもふはかりなり今一くはんの御きやうは

十あく五きやくのさいにんをも上ほんれん
たいにやとし給へたとひ此身はちい
ろのそこにしつむとも御手のうへあなう
らをむすはせ給ひてもろともに一ふつ
しやうとのえんとなし給へとてふしお
かみさてのたまひけるはなに事もおもひ
をく事はなけれともいま一たひちゝ御せ
んめのとをみたきはかりなり見んといふ
ともみせしよしそれとてもみたのらいかう
にあつからはいとおしき人くにそひたて

【17】

まつるへしとついたちあかりはかまの
そはたかくとりしやうそくひきつくろいき
ぬのそてひきむすひてかたにかけ舟はた
にたちよりねんふつ百へんはかり申
ていまやゝと
まちたまふ
おほしめしきり
たるてい見るに
なみたもとゝ
まらす

いはやはすみ
あらしたる
とて
うへのいは屋を
しつらいおき
まいらせ
けり

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書誌情報 Metadata

タイトルTitle

いはや イワヤ Iwaya

別書名 Alternative Title

岩屋草子 イワヤ ソウシ Iwaya soshi

岩屋の草子 イワヤ ノ ソウシ Iwaya no soshi

巻次Volume Title

ジョウ Jo

部編番号Alternative Volume

1

出版者Publisher

[書写地不明] : [書写者不明]

出版年Date [江戸前中期]
時代区分Temporal 江戸 Edo
主題Subject 物語・説話 Story & Tale / 絵巻・絵本 Picture scroll & Book
資料種別Materiar Type 和古書 Early Japanese Book / 図書 Book / 静止画資料 StillImage
タイプType Image / Text
フォーマットFormat image/jpeg
言語Language 日本語 jpn
彩色有無Coloration Coloring
刊写別Publication way 写本 Manuscripts
一般注記Description

個別書誌作成(和古書)
写本(奈良絵本)
本標題は書題簽による
内題なし
挿画: 上冊: 3葉, 中冊: 5葉, 下冊: 2葉
綴葉装, 金泥草木絵紺表紙, 切箔散銀箔置見返, 雁皮本紙, 朱題簽

OPAC URLCatalog Record https://bukkyo.userservices.exlibrisgroup.com/discovery/openurl?institution=81BU_INST&rfr_id=info:sid%2Fsummon&rft_dat=ie%3D21301648920006201,language%3DEN&svc_dat=CTO&u.ignore_date_coverage=true&vid=81BU_INST:Services&Force_direct=false
原資料識別子Source Identifire 書誌ID: 991002690639706201
NCID: BA71488681
公開状況Access Rights インターネット公開 opened
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