– 原文 –

【十四之巻】万年山相國承天禅寺　寺領千八百卅石余

後小松院御宇
明徳三年の草創
尊氏将軍三代義満公御こんりうにて夢相國師くはんじやうのところ也

– 原文 –

具足山妙顯寺　寺領一石

後圓融院の御宇
建立
らくやう法花廿一ケ寺の第一也
開基日像上人
さいかうは加賀の國司黄門利光卿中ごろ三十番神の事をよしだの兼倶がたづねしを當寺日具上人返答あり
かねとも大きにかんじけりといふ

– 原文 –

龍乃口御難

弘長元年五月十三日
平の重時が謀として相州竜の口にて誅せらるへしとて敷革に座せしめける時
日蓮心中に題目をとなへ給へば
天俄にかき曇り辰巳の方よりしんとうらいてんすさましくひらめき
太刀を段々にくたき眼くらみたましゐをけす
けいこの武士も落馬せしかは相模の守大におとき
上人の死罪をなため給ひけり
其後後宇多の院の御宇
壬午十月十三日武蔵國池上左衛門太夫宗仲か家にて迁化御年六十一才也

– 原文 –

龍寳山大徳寺　寺領二千四石余

花園院後醍醐天王御崇敬の所也
大燈國師開基

– 原文 –

[禅僧]

そうしてせんしうはほんらいむ一もつといふをさとりてめてたきになつますかなしきをなけかす
ほとけをさとり
そしをさとるの
ふかきならいありとそ

– 原文 –

大宮の森

やすらひはなといふ事
むかしさくらまちの中なこんといひし人
としことのはるさくらのあやなくちるをおしみ給ひて
いまみやはやくしんたちゆへに御いゑの子をつかはし給ひて
さまくきせいありしかは
よその花よりはちる事おそくして廿日かあいたさかり也けりとそ
此ゆへにやすらひ花とは安楽花と書とかや

– 原文 –

今宮

一条院御宇
正暦五年ゑきれいはやりて
らく中らく外の人おほく死して
さはがしければ御灵會を舟岡にまつりぬ
又疫はやりて京都しつかならざりしかば此所に社をたて鎮まつり
神馬をまいらせて今宮と号し
御灵會をはじめおこなはる

– 原文 –

[今宮つづき]

御灵會は五月十五日なり
御神事の前七日の間
神の御出とて下松といふ所に御旅所をさだめ
うぶすなの人参詣す
さいれいには御こし三社をまつる
近頃は愛塔の宮とて小庇の車に出し絹してまつり渡す

– 原文 –

今宮祭礼

洛陽の内聚楽西陣はおしなへてみな此御神の氏子也
故にさいれいには十二基の鉾をいたし
御先にたち産宮の人
麻上下のおりめだかなる出立にて
けいごせしめ手ゝに引わり竹のすぐなる御代のしるしとぞ

– 原文 –

七野社

若宮春日明神と号す
みやこの北に七野あり
其惣社として祭る御神なるゆへか
七野とはいわゆる内野
北野
萩野
蓮臺野
紫野
上野
平野なりし

– 原文 –

當寺念仏は此寺の桜さき次第に初る
狂言の次第は壬生におなし
龜山院の御宇
文永年中に如輪上人はしめ給ふ
開基は定覚律師
閻魔王は定朝作
寺領五石